トロンボーン ピース・オブ・ザ・イヤー2017作曲賞 

 

トロンボーン ピース・オブ・ザ・イヤー2017作曲賞

小久保 綾子 / D-danceD
演奏:東邦音楽大学トロンボーン・カルテット
 

入賞・奨励賞

野呂 望 / 空虚への跳躍D
演奏:トロンボーン 山下 創、ピアノ 竹内 優香
 

入賞・聴衆賞

小田 実結子 / Pray and PlayD
武蔵野音楽大学トロンボーン・カルテット


本選演奏作品(演奏順)

本選出場者(入賞者)として以下の曲が選出されました。
2017年3月12日(日)トロンボーン・フェスティバルにて演奏、審査が行われます。

野呂 望 / 空虚への跳躍 (トロンボーンとピアノ)

 トロンボーン: 山下 創  ピアノ: 竹内 優香
 

小林 拓貴 / 恒河沙の点が行き交う (トロンボーンとピアノ)

 トロンボーン: 宮崎真美  ピアノ:曽根恭子
 

小田 実結子 / Pray and Play (トロンボーン4重奏)

 トロンボーン: 武蔵野音大トロンボーンカルテット(岩倉宗二郎 、 坂田志織 、 宮下夕芽 、 霜村友香)
 

小久保 綾子 / D-ダンス (トロンボーン4重奏)

 トロンボーン: 東邦音楽大学トロンボーンカルテット(原 桃子 、 日向野美紀 、 三浦葉月 、 山崎美菜恵)
 

 

野呂 望 / 空虚への跳躍( トロンボーンとピアノ) 
"Saut dans le vide" for Trombone and Piano

演奏:山下 創(トロンボーン)、竹内 優香(ピアノ)
 
作曲者による作品解説:その特異な思考性から賛否の嵐を浴び続けながらも、ひたすらに自らの芸術を追求し続けたフランスの芸術家イヴ・クライン(1928〜1962)。彼のその姿勢と写真作品「空虚への跳躍」(Saut dans le vide)に触発され、着想、作曲に至った。独自の色の開発や多くのパフォーマンスなど、表現の幅を広げるための挑戦を彼がした背景に倣い、私もこの曲の中で新たな挑戦を試みた。トロンボーン、ピアノ共に音域を広く使った劇的な序奏に続いて、拍子やテンポを取り払い、浮遊感や絶妙なアンサンブルを生み出すことを目的とした音楽が展開される。これが第1の挑戦である。続いて、ピアノのオスティナートをベースとし、長いクレッシェンドにより1つの大きな頂点を迎える第2の挑戦が奏される。短い経過を経て再び序奏が再現され、序奏よりもめまぐるしく発展し爆発的な頂点に達したのち、ピアノのソステヌートペダルが醸し出す特徴的な響きの中で曲を閉じる。
 
◇野呂 望 神奈川県厚木市出身。県立厚木西高等学校卒業、昭和音楽大学作曲学科作曲コース卒業。同大大学院音楽研究科修士課程音楽芸術表現専攻(作曲)1年次在籍。作曲を秋田和久、都倉俊一、後藤洋、李建★(イ・ゴニョン)の各氏に師事。第4、5、6回音楽大学オーケストラフェスティバルのファンファーレを作曲。SHOWAフレッシュアーティスト・コンサート2016に出演。テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ第13回定期演奏会にてオーケストラ作品が初演される。その他、学内のサークルやアンサンブルなどに作、編曲作品を提供している。

2. 小林 拓貴 / 恒河沙の点が行き交う (トロンボーンとピアノ) 
Countless Crossing Points

演奏:宮崎 真美(トロンボーン)、曽根 恭子(ピアノ)
 
作曲者による作品解説:都会は様々なものが行き交っている。その場を行き交う人ともにその一人ひとりの様々な思想、地位、信仰など数えきれないほどのものが行き交っている。都会という空間は毎日その数えきれないほどの点が行き交っている。それほどたくさんの点が無秩序に行き交うにもかかわらず秩序よく流れていく。当たり前のように流れ、無彩色の空間を作り出す。朝、まだ都会が完全に動き出していないときも都会は冷たく人々までを点のように行き交わせる。昼になればその点も増大していき秩序よく激しく流れてゆく。夕方、激しい点の流れが少し収まりつつも都会を包む空色彩など関係なく無彩色な空間に点が行き交う。夜、都会は眠ることなく静かに点が流れる。たとえ少し色彩が光ったとしても無彩色の空間に消えていく。そして朝を迎える。
 
◇小林 拓貴 三重県亀山市出身。中学の頃よりトロンボーンを始める。三重県立白子高等学校普通科文化教養(吹奏楽)コース卒業。現在、昭和音楽大学音楽学部作曲学科
作曲コース4年に在籍し、作曲を秋田和久氏に師事。

3. 小田 実結子 / Pray and Play (トロンボーン4重奏) 
Pray and Play

演奏:岩倉 宗二郎(武蔵野音楽大学3年)、坂田 志織(武蔵野音楽大学3年)、宮下 夕芽(武蔵野音楽大学3年)、霜村 友香(武蔵野音楽大学3年)
 
作曲者による作品解説:トロンボーンという楽器の持つ「静」と「動」の魅力を描きたいと思い、性格の異なる2楽章からなる組曲を作った。"Pray"は「祈り」をテーマとして、コラール風の主題①から始まる。1stがゆったりとした息の長いメロディー②を歌ったのち、短いフレーズが他パートに引き継がれ、やがてバストロンボーンに16部音符を伴う新たなメロディー③が出てくる。曲は主にこの①・③の要素で構成され、調を変えつつ展開していく。始まりも終わりも B durだが、途中で遠隔調への転調を取り込んだ。また、長調の中にもどこか憂いを帯びるよう、所々に準固有和音を用いている。"Play"は「遊び」をテーマとして、ジャズの要素を取り入れた。セブンスや平行和音が多用され、スウィングのリズムに乗って展開していく。中間部では3連符が中心となり、ゆったりした曲調に変わる。ここでは内声にカップミュートを用い、音色に変化をつけた。素早い音型の受け渡しやグリッサンドが所々に登場し、賑やかな作品となっている。
 
◇小田 実結子 東京都出身。白百合学園中学高等学校卒業。4歳から高校卒業まで、武蔵野音楽大学附属多摩音楽教室にてピアノ・ソルフェージュを学ぶ。武蔵野音楽大学作曲学科卒業。現在武蔵野音楽大学大学院修士課程作曲専攻1年次在学中。平成24・26・27・28年度福井直秋記念奨学生。音楽大学オーケストラフェスティバルにおいて、第5回より3年連続で校内代表ファンファーレとして作品が選出される。2014年、フルート四重奏「雪の降る街」をティーダ出版社より出版。第21回TIAA全日本作曲家コンクー
ル室内楽部門奨励賞受賞。作曲を野崎勇喜夫氏に、ピアノを長堀好美、★坂朋聖、岡珠世の各氏に師事。
 
 

4. 小久保 綾子 / D-ダンス (トロンボーン4重奏) 
D-dance

演奏: 原 桃子(東邦音楽大学ミュージックセンター講師)、日向野 美紀(東邦音楽大学実技演奏研究員)、
三浦 葉月(東邦音楽大学3年)、山崎 美菜恵(東邦音楽大学実技演奏研究員)
 
作曲者による作品解説:D-danceは、「D(レ)」の音を土台・中心に置いた作品。3部構成になっていて、全てattaccaで演奏する。この3部構成は急-緩-急になっていて、それと共に縦-横-縦で音楽が展開している。この作品は、今年のリオデジャネイロ五輪閉会式での素晴らしいパフォーマンスだった「トーキョーショー」のように、日本ならではを考えつつ世界に発信することに着眼し、尚且つ誰にでも楽しめる作品を試みた。
 
◇小久保 綾子 東京生まれ。桐朋学園大学音楽学部作曲専攻卒業、同大学研究科修了。作曲を円山利絵、柳田憲一、香月修、新実徳英、ピアノを星
野安彦、三輪郁、室内楽を夏田昌和、林達也の各氏に師事。
 
 

審査員等紹介

糀場 富美子( 作曲家、東京音楽大学教授、東京藝術大学講師)
福士 則夫 ( 作曲家、東京音楽大学客員教授、日本現代音楽協会会長)
吉川 武典  (NHK交響楽団トロンボーン奏者、東邦音楽大学特任准教授)
 
 

ピアニストプロフィール

竹内 優香(ピアノ)

都立芸術高等学校、武蔵野音楽大学卒業。現在同大学院修士課程1年。これまでに照山恵理、現在エレーナ・アシュケナージ、永岡信幸に師事。第16回リスト音楽院セミナーを受講しイシュトヴァーン・ラントシュに師事。第20.21回日本クラシック音楽コンクール入選。2011年に都立芸術高等学校発表演奏会に出場。第15回”万里の長城杯”国際音楽コンクール第2位。第31回アジア国際音楽コンサートオーディション優秀賞。第3回国際ピアノ伴奏コンクール第3位。
 
 
 

曽根 恭子(ピアノ)

兵庫県出身。桐朋学園大学ピアノ専攻卒業。アメリカ・インディアナ大学に留学し、ディプロマを取得。帰国後はソロ・室内楽・伴奏と幅広く演奏活動を行う。特にトロンボーンのレパートリーが多く、これまでにブラニミール・スローカー、クリスチャン・リンドバーグ、ミッシェル・ベッケ、ウィーンフィル首席奏者のデュートマル・キューベルベック、東京都交響楽団首席奏者の小田桐之、ロイヤル・コンセルトヘボウ首席奏者のヨルゲン・ファン・ライエン、ロンドン交響楽団のポール・ミルナー、メトロポリタン歌劇場管弦楽団のウェスト・スプロット、山形交響楽団首席奏者の太田涼平、東京都交響楽団の青木昂等、世界的プレーヤーと共演している。第10回横浜国際音楽コンクール優秀伴奏賞。現在、昭和音楽大学ピアノ科・伴奏講師。桐朋子供のための音楽教室講師。宝塚演奏家連盟会員。
 
 
 
 
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