updated   2022-09-21

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サクバット奏者 宮下宣子

vol.2    モレッリヤ古楽祭体験記 ①

 2022年7月22日~28日、スペインのバレンシア州モレッリヤで行われた、中世音楽を中心とした古楽祭に参加して来ました。
 

https://www.culturalcomes.net/images/Morella/2022/Programas_EMM22.pdf
 
講習会は城壁内の建物で行われ、城壁から見下ろした田園風景

 
 この古楽祭は、スペインの古城を囲む歴史ある町ぐるみで行われていて、いろいろな支援があり、今年は11回目を数え、年々盛んになって来ているそうです。
 
 体験記の初回は、この古楽祭の全体的な概要について書きたいと思います。まずモレッリヤの古楽祭の特徴は、グレゴリオ聖歌から中世もの、かなり古い時代のものを取り上げることを特徴としていながら、オルガン、チェンバロ、ガンバに、バロックギター、ビウエラ、リュート、テオルボや、管楽器はショーム、ボンバー、ドゥルツィアン、リコーダー、スライドトランペットにサクバット。また中世のダンスやアンダルシアのダンスのクラスの他、モンテヴェルディらの初期バロックもののアンサンブルや合唱、モロッコから来たアラブ音楽のグループのレクチャーやコンサートまであり、とても内容が幅広い事です。受講生によるファイナルコンサートも、それに伴い、非常に広範囲なジャンルの充実したものになりました。
 
 まず初日には、今年のテーマが『ナポリ』ということで、その趣旨の講演会がありました。(1442年スペイン、アラゴン王のアルフォンソ5世がナポリを征服した関係で、スペイン人はこれに誇りを持っているようです)
 
 また初晩のコンサート(いつもコンサートは22:30~0:30の時間に行われる⁉️)は、この古楽祭全体のオーガナイザーであるチャールズ・マグレナー氏(ヴィオラ・ダガンバ奏者) の企画で、モレッリヤで一番大きなサンタ・マリア教会前の広場で、照明や音響も入れて行われました。内容はスペインが南米を植民地にし、南米の踊りの音楽をスペインに持ち帰った旋律であるチャッコーナやフォリア、サラバンド、パッサカリアなどを通奏低音(オスティナート=頑固な、という意味)として使い、それに乗って演奏し、踊る)スタイルの音楽です。これらは繰り返しなので、わかりやすく、乗りやすく、スペインで16世紀に大流行したそうです。特にサラバンドは「スペインでは猥褻性を理由に1583年8月3日にフェリペ2世によって禁止され、刑罰は鞭打ち200回と、男なら6年間のガレー船漕刑、女なら王国からの追放であった。」と記載があるそうです。オスティナート音楽は、今もスペイン人は大好きなようでした。そして、町を上げての音楽祭らしく一般市民や、バカンスの観光客などで大盛況でした。コンサートの料金は受講生は無料、一般は20€で、とても身近に素晴らしい音楽に触れられるところは、素晴らしいことです。
 

これは翌日、同じ場所でのアラブ系のコンサートの模様です

 

毎日コンサートの他にも様々な催しがあり、
日曜日の夕方、街の広場で賑やかに繰り広げられました。
誰でも参加自由!
 
 また歌の講師のパトリツィア・ボーヴィ氏が吟遊詩人の音楽をハープで弾き語り歌い、途中でアナフィルというトランペットの原型と言われるアラブの直管トランペットまで吹いたので、ビックリしました。
「アナフィルの演奏」
トランペットの元になった楽器です。

 
 スペイン独特のビウエラのコンサートや、モロッコから来たアラブ伝統音楽のグループのコンサートもありました。

 
 この町で一番大きなサンタ・マリア教会のパイプオルガンのコンサートもあり(特にこのパイプオンガンは歴史的にも大切なものらしく、今、寄付を募って修復しようとする動きがあるそうです)本当に楽しく、充実していました。
 

 
 他に、歴史あるモレッリヤ城のガイドツァーや、毎朝トニー・アッパリージ氏によるヨガもあり、本当に盛りだくさんな一週間でした。
 
 最終日の受講生(プロ、アマ混在)のコンサートは、バッサ(音が小さいもののグループの意味)、アルタ(音が大きいもののグループの意味)に分けた2部制で、全員がそれぞれの成果を、自信を持って発表しました。受講生はスペイン人は多いものの、スウェーデン、オーストリア、フランス、イタリアなど各国から集まっていましたが、皆さんとても積極的で人生肯定的、お互いに励まし褒め合い、高め合って行くところなど、演奏以外のところでも、とても素晴らしい体験をしました。
 
 まずはコンサートは、グレゴリオ聖歌から始められました。グレゴリオ聖歌のクラスがある古楽祭は、多分ヨーロッパでも珍しいのではないか、と思います。
グレゴリオ暦のハレルヤは、 9世紀と11世紀の二つの写本に基づいています。
まだ楽譜が一般的ではなかった時代、 音を手で表現しています。

 
 アルタカペッラの先生のシルケ氏はドラム&プァイファーの名手でもあり、そのクラスもありました。

ドラム&プァイファーのアンサンブルで
カンティガとは中世西洋音楽のひとつで、イベリア半島における単旋律の歌曲。頌歌ともいう。 とりわけ名高いのはは、13世紀レコンキスタの盛んなイベリア半島で王であったアルフォンソ10世が編纂した「聖母マリアのカンティーガ」 
Alfonso el sabio (1221-1284): Gran dereit’ é de seer (Cantiga 56)
Miragres fremosos (Cantiga 37) Da que Deus mamou (Cantiga 77)

 
 私は今回、スライドトランペットでアルタカペッラ(ショーム、ボンバーなど音の大きい楽器のアンサンブル)を勉強するのと、サクバットのクラスを受けることの2つが、参加の目的でした。
 
 アルタカペッラはヨーロッパでも非常にレアなジャンルであり、これを学べるのは本当に貴重な体験なのです。高らかで、迫力ある、野生的な音色での祝祭的音楽は、とても刺激的な体験となりました。

「オーボエのためのパヴァーヌ」 
アルタカペッラで演奏しました。
Pavane pour les hautbois   :Henry le jeune (1560-1635)

 

シルケ・グヴェンドリン・シュルツェ氏、
サクバット(スペイン語でサカブーチェ)の講師エリアス・エルナンデス氏と受講生たち

 全体を通じて感じたのは、古楽だから静かめに、癒しの音楽を、いう事だけではなく、本当にさまざまな音楽があること。そして、どのジャンルでもしっかりとした音色と息で、しっかりと音楽を表現することが大事で、何よりも音楽の生命力を大切にするべきだ、ということを改めて感じました。
 
 サクバットやスライドトランペットのレッスンについての具体的な内容は、次回改めて書きます。

2022年7月30日
       
オマケに、最終日の打ち上げの様子
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